生きるそばから唾を吐きかけるのは やめてくれないか

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ガリガリくんを知らない人はいても彼女を知らない人はいないんだし

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彼女はいつだって僕らの胸にマスターキーを差し込もうとする 
ところは小さな町の小さなアパート
ひとつ咳をするたびに彼女は階段を駆け上がってくる
そしていつもの口癖 「悪い風邪とマスカラの女には気をつけなさい」
そこは愛の奇跡 そこは彼女の愛の奇跡

向かうところ敵なしの彼女は誰よりもさりげなく笑い さりげなく要求する
ある朝これから牛乳買うときはキオスクにしてねとしっかりした口調で言いながら僕らの首にスイカをぶら下げてくれたんだけどナナコ利用者の僕はナナコじゃだめなのかと思って「ナナコじゃだめなの」と声に出してる途中で人差し指を口に押しつけられ「当然でしょ」と言い切られたのが未だにイタイ

「当然」でしょの「当然」がすごく力強くてこれこそが本物の「当然」のようで当然のように圧倒されたことがいつまでも深いところにある
噂だと町で一番の愛情を蓄えてたらしいけどそれを見たものはいない
目に見えるような愛情じゃ愛情とは呼べないってことらしいけどそもそもそんなことを問題にする人たちは皆無

誰よりも多くのことを受け入れてきた彼女を賞賛する人はいても非難する人はいない 
例え大半が彼女の手に負えない出来事だったとしも彼女への評価が揺らぐことはなかっただって彼女は誰でもないあの彼女なんだから
この町ではガリガリくんを知らない人はいても彼女を知らない人はいないんだし

僕らは日に日に自由が効かなくなり 自分らでも情けないくらいひとりぼっちを演じてしまっていてそれでも僕らは彼女のようなものを振り払おうとして大きく深呼吸をしたり肩を回したりして僕らの存在が意味あるものであるのかないのかを確かめようとしたけどほとんどムリ

それで図書カードがいつのまにか使えなくなってたのをブックスゴローで優良図書を買おうとした時に知らされてとても残念な気分を味わうことになるんだがそこで思い立って逃げ出すわけでもなく彼女の何とも言えない妙に甘酸っぱくて鼻の奥がチクチクするような眼球の裏あたりが麻痺したような刺激的な臭いに誘われてそそくさとまたあのアパートに帰っていってしまう毎日を繰り返している

そうして僕らは生きている かえすがえすも生きている そうさ生きていることがフツウなんだから だって死んではいないからさ 生きてるだけさ 何となくね ぜったいにさ
それが生きるってことなんだよ たぶん

過ぎ去っててしまったことをいつまでもいつまでも何度も何度も繰り返し繰り返し愚痴るのは未練がましいわと朝起き抜けにコップ一杯の水を飲みながら彼女は言う
朝ご飯を食べたら次はお昼のことを考えるべきでそして次は夜ご飯でしょ そして寝たらまた朝ご飯 一日3食は欠かせないのよ いいえ欠かすべきではないわ とけっして誰かが口を挟まないようによほど気を遣いながら割と急いでしゃべる
肘掛けのついたとてもお気に入りの椅子に座って 肘掛けをさすりながら
そしてこれまたお気に入りの特注品のステンドウガラスがはめ込まれた窓をウットリ眺めながら歯切れが良いのだが僕らの耳には届きづらい声でしゃべる

お気に入りらしいけど座っている間何故だか落ち着かないようにみえるんが少し切なくて笑ってしまうんだがそんな僕らの些細な笑いさえも見逃さない彼女はキッとした顔を僕らに向けてさっきよりも滑舌よくしゃべる 「笑うには遅すぎるわ 悪い風邪とマスカラの女には気をつけなさい」

どうにかして口を挟みたい僕らは 拾った石に意志を込めてポケットの奥底に忍ばせてあってとにかくいつか彼女が後ろを向いた隙にステンドウガラス目がけて投げつけることだけを当面の目標に据えてたりするんだけど実際のところそんなことできる分けないから今では生涯の目的になってたりするんだけどそのせいだと思うんだけど何だかずいぶん気が重くてグズグズグズグズいつまでもいつまでもくよくよ思いながら彼女のご自慢のステンドウガラスと肘掛け椅子の黒光りした肘掛けのところをずいぶん遠くから眺めている 

そうして僕らは生きている それだから僕らは生きていける 彼女が生きているように僕らも生きている どうかすると彼女以上に僕らは生きている そうやってこれからも生きてみせる  






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